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アスベスト訴訟の概要や手続きの流れ

アスベストを理由とする健康被害が生じた場合、国を被告として、国家賠償請求訴訟を提起することができます。

最高裁判所判決において、昭和33年5月26日から昭和46年4月28日までの間、国が規制権限を行使して石綿工場に局所排気装置を設置することを義務付けなかったことが、国家賠償法の適用上違法であると判断されています。これを受けて、アスベスト訴訟においては、一定の要件を満たすことで国との間の和解が成立し、賠償が行われることとされています。

では、具体的にどのような手続きを経て、アスベスト訴訟は終結するのでしょうか。このページでは、アスベスト訴訟の概要・手続きの流れ・和解の要件についてご紹介します。

アスベスト訴訟の概要

アスベスト訴訟、すなわちアスベストによる健康被害を理由とする国家賠償請求訴訟は、訴訟内で和解を行うことで解決を図ります。

すなわち、まずは国の規制権限不行使を原因とする国家賠償請求訴訟を提起する必要があります。

そして、後述する一定の要件を原告が主張立証することによって、国との間で和解が成立し、賠償金が支払われるという方法で、解決が図られます。

以下、具体的な手続きの流れをご紹介します。

アスベスト訴訟の手続の流れ

・訴状の提出、訴訟の提起

訴訟は訴状を裁判所に提出することによって始まります。提起する訴訟によって何を求めるのか(損害賠償の金額)、請求を認めてもらうための要件を満たしているか等の記載を行います。

 

・準備書面の提出

準備書面とは、当事者が口頭弁論において陳述しようとする事項を記載した書面をいい、事前に裁判所に提出します。これによって主張と反論をかみ合わせ、争点を整理します。

 

・口頭弁論及び弁論準備手続

口頭弁論期日及び弁論準備手続においては、請求の成否を争って当事者が主張と立証を行います。アスベスト訴訟においては、賠償金の支払いを認めてもらうための要件の主張立証を原告が行い、これが認められれば、国側との間で裁判上の和解が成立します。

 

・和解調書の作成・損害賠償金額の支払い

国との間で裁判上の和解が成立した場合、裁判所は和解調書を作成します。和解調書には裁判所による判決と同様の効力があり、この内容に沿って、国から原告に対して損害賠償が行われます。

和解に必要な要件

では、アスベスト訴訟において原告が主張立証するべき和解の要件にはどのようなものがあるでしょう。以下、和解の要件についてご紹介します。

 

①一定期間内のアスベスト工場内従事

昭和33526日から昭和46428日までの間に、石綿粉じんを吸引する恐れのある作業に従事したことが必要です。

職務歴を立証することで上記要件を立証することになります。その際には、被保険者記録照会回答票が重要な証拠となります。

 

②健康被害の有無

上記作業による労働を原因としてアスベストによる一定の健康被害を被ったことの立証が必要になります。

石綿肺・肺がん・中皮腫・びまん性胸膜肥厚などの症状が挙げられ、医学的な証拠をもとに立証することが求められます。

証拠としては、診断書・じん肺管理区分決定通知書・労災保険給付支給決定通知書が挙げられます。

なお、消滅時効が完成していないことも求められます。民法上の不法行為に基づく損害賠償請求権のうち生命・身体に対する不法行為の時効期間が適用されます。

2020年4月1日の法改正を受けて、時効期間は以下のようになります。

 

【2020年3月31日以前が起算点の場合】

・損害(最も重たいもの)と加害者を知った時から3年

・不法行為の時から20年

 

【2020年4月1日以降が起算点の場合】

・損害(最も重たいもの)と加害者を知った時から5年

・不法行為の時から20年

のいずれか早い方で消滅時効が完成します。時効期間に注意しながら訴訟を行うことが重要となります。

 

三善法律会計事務所では、中央区、新宿区、渋谷区、目黒区を中心に、全国にお住まいの皆様の法律相談に真摯に向き合っております。制度の説明や、手続の代理などを通じて、皆様の疑問や不安が1日でも早くなくなりますようご支援させていただきます。アスベスト訴訟に関してお困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。

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事務所概要

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ご挨拶

平成29年12月1日より三善法律会計事務所を開業し、平成30年1月11日より執務を開始することとなりました。

これもひとえに皆様方のご厚情とご支援のおかげと、心より感謝申し上げる次第です。


三方善し(人善し、我善し、世間善し)さんぼうよし

近江商人が掲げた「人よし、我よし、世間よし」の「三方よし」と同様、弊事務所も「三方」に対して、道徳・倫理に適った真に「善いこと」を実現する事務所でありたい、そんな想いから「三善(みよし)」法律会計事務所を立ち上げました。


引き続き、皆様方のご要望に期待以上のお応えができるよう誠心誠意努力してまいる所存です。

経歴

2005年11月 公認会計士二次試験合格

2006年 3月 中央大学経済学部卒

2006年 4月~2009年12月 三優監査法人勤務

2010年 8月 公認会計士登録

2012年 3月 中央大学法科大学院修了

2013年12月 司法修習終了、弁護士登録

2013年12月~2017年11月 虎門中央法律事務所勤務

2017年 12月 三善法律会計事務所設立

著書

『フロー&チェック企業法務コンプライアンスの手引』(新日本法規出版/2016年/共著)

『法律家のための税法[会社法編]』(第一法規/2017年/東京弁護士会共著)

新しいルールの理解とよりよい職場のための 職場のハラスメント対策Q&A
(㈱経済法令研究会/2020年)

セミナー等

「債権回収と貸倒損失」

(2018年6月東京税理士会足立支部/9月豊島支部)(2019年7月東京税理士会練馬西支部/7月四国税協)

「相続における事前対策」

(2018年10月東京税理士会小石川支部)(2019年4月東京税理士会町田支部/6月小石川支部/7月福井県税協/7月兵庫県西税協)

「ハラスメントの基本とコンプライアンス」

(2019年1月全国信用保証協会連合会)