企業(会社)における民事再生とは、債務超過や資金繰りが立ち行かなくなった状態の企業が裁判所を通して行う、再建手続きです。
民事再生と破産の大きな違い
法人破産、つまり会社の倒産の場合は会社の存在が廃止され完全に無くなってしまうのにに対して、民事再生手続きは会社が継続します。
会社の民事再生を分かりやすく解説
キャッシュは入ってくるが支払いは法的に止まる、そのお金を使って再建していく
会社の資金繰りが立ちいかなくなっているのにどうやって再建していくのか?
まず、再生の手続きをはじめてくださいという手続きを裁判所にお願いに行きます。
裁判所が「良いですよ」と言ってくれると、その時点でその会社は債務を一切返さなくて良くなります。
更に、自分が得意先に持っている債権(売掛金)はどんどん回収することができますので、
出ていくキャッシュは無くなるが、入ってくるキャッシュはあるという状態になります。
入って来たお金を持って、待ってもらっていた債務を順次返していくというのが民事再生手続きの概要になります。
どうやって、仕入先に支払いを待ってもらいながら事業を継続するのか?
事業を継続していかなければならないので、例えば小売店の場合、商品を仕入れなければ売り上げられません。
しかし、仕入れたお金が払えなくなっている状態ですので一旦裁判所に行って支払いを止めてもらいます。
その後も、事業を継続しなければならない為、「返済は待ってもらっているが商品はさらに入れて貰わなければならない」という不合理なお願いをしなければならない訳です。
お取引先としては「今までの代金も払ってないのに、更に商品を仕入れさせるとは何事だ」ということになるのが通常です。
ではどうやって仕入れさせてもらうのかというと、現金を持っていくことになります。
「次からの仕入れは現金を持って支払いますので、ここにある商品を売ってください」という交渉をして事業を継続していくのです。
つまり、民事再生手続きを行うには、取引先と交渉するだけの現金が手元に残っている必要があります。
待ってもらった返済をどう返していくのか?
民事再生手続きを行うと、取引先には「棚上げ(たなあげ)」といって一時的に返済を待ってもらうことになります。
それをどうやって支払っていくのかは、民事再生をしてから3~4ヶ月以内に裁判所に提出しなければならない再生計画というものに添って進めていくことになります。
再生計画とは、裁判所へ提出する計画書です。
これからはどれだけの売り上げがあって、こうやって経費を削減して、これだけのキャッシュが生み出し、これだけの余剰ができるのでこれから5年~10年にわたって返しますという内容がまとめられています。
民事再生手続きが認可されると、その計画書に沿って一旦待ってもらって、返済していくということになります。
企業の民事再生の費用は?
当事務所では最低でも100~150万円くらいの費用を頂いています。
民事再生の場合は事業は継続していくため、月々の業務委託費用が30万円~50万円ほどかかります。
実は、民事再生手続きが認可された後の、その月々の方が弁護士の仕事は多くなります。
民事再生手続き後に毎月弁護士が行う仕事
- 債権者との交渉
- 一緒に再生計画を立てる
つまり、債権者から「いつ返してくれるんだ」「貸してる物件引き上げて良いのか」という督促が行われるのに対して、弁護士が相手に対して都度交渉を行う必要があります。
その債権者との交渉に加えて、会計士の先生に入ってもらって、経営計画を立てて、調整していくということも必要になります。
再生計画については、会社の数字が見えないと出来ないなので、当事務所の場合代表弁護士の会計士の資格が役に立っています。
まとめ
- 民事再生は破産(倒産)と異なり会社が継続する
- 民事再生すると支払いが止まりお金が入ってくるのでキャッシュに余裕ができる
- 再生計画に基づいてそのキャッシュをもって返済・再建していく
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